計測器豆知識【オシロスコープ編】
オシロスコープのサンプリングレートはどう選ぶ?サンプリングレートの基礎と注意点をやさしく解説!

オシロスコープの選定は、周波数帯域と並んでサンプリングレート(Sampling Rate)が重要です。

不適切なサンプリングレートで波形を測定すると、波形が歪んだり、誤った波形を測定してしまうことがあります。今回は初心者が迷いやすい、サンプリングレートについてわかりやすく紹介します!

▶オシロスコープの基本知識編はこちら

【トラブル事例で学ぶ】よくある帯域選定ミスとその落とし穴

【トラブル事例で学ぶ】よくあるサンプリングレートの疑問

「測りたい信号は50MHzの正弦波だから周波数帯域は10倍あればOK。でもサンプリングレートは、どうしたらいいの?」

周波数帯域は決まっても、次はそんな疑問がわいてきませんか?

実例:波形を測定したところ、おかしな波形が表示された

実例:波形を測定したところ、おかしな波形が表示された

以下のような正弦波を測定したところ

きれいな正弦波

全く違う周波数の違う波形となって測定された

サンプリングレート不足の正弦波

十分なサンプリングレートで測定したところ、以下のように正しい波形が測定できました。

十分なサンプリングレートの正弦波

原因は「サンプリングレート不足によるエイリアシング」でした!

原因は 「サンプリングレート不足によるエイリアシング」 でした!

サンプリングレートとは?

サンプリングレートとは、アナログ信号をデジタル信号へ変換する際の1秒間のサンプル数(標本化)の事で、S/s(Sample per second)として表します。

サンプリング回数の例

  • 1 kS/s
    ⇒ 1秒間に1,000回のサンプリング
  • 1 MS/s
    ⇒ 1秒間に100万回のサンプリング
  • 1 GS/s
    ⇒ 1秒間に10億回のサンプリング

エイリアシングとは?

サンプリングレートが不足していると、元波形とは異なった波形が再現されてしまう エイリアシング(Aliasing) が発生します。

エイリアシングが発生してしまうと正しい評価ができず、不具合の誤判定につながる恐れがあります。

エイリアシングが発生すると…

  • 波形がひずむ
    サンプリングポイントが不足することで信号が歪み、元の波形とは異なる波形に見えてしまいます。
  • 周波数を誤って測定してしまう
    サンプリングポイントが不足することで、誤った周波数を表示してしまいます。

基本的なサンプリングレートの考え方

ナイキストの定理から、少なくとも測定したい波形の2倍以上の速さでサンプリングする必要があります。 しかし、それではサンプリングレートが不足し、エイリアシングが発生してしまう事に繋がります。 そのため多くのメーカーは、 周波数帯域の4~5倍のサンプリングレート を推奨しています。

サンプリングレートとレコード長

サンプリングレートとレコード長の関係も、波形測定には重要です。

波形を測定できる時間の長さはレコード長とサンプリングレートによって決まり、 サンプリングレートが高速になるほど、使用するメモリが増え測定時間は短くなります。

このため、必要以上にサンプリングレートを高くすると、 本来測定したい波形の一部分しか測定できなくなります。

サンプリングレートは高ければ良いというものではなく、 レコード長とのバランスが大切です。

サンプリングレートと一緒に理解すべき「レコード長」

レコード長とは、オシロスコープがサンプリングした波形を記録できる サンプル数のことで、メーカーによっては メモリ長と表記される場合もあります。

  • 1kポイント ⇒ 1,000サンプル
  • 1Mポイント ⇒ 100万サンプル
  • 1Gポイント ⇒ 10億サンプル

オシロスコープはサンプリングしたデータを内蔵メモリに記録するため、 レコード長が長いモデルほど高価になる傾向があります。

また、レコード長(メモリ長)はオプションで増設できるメーカーもあります。

では、サンプリングレートと測定時間の関係を、 実際の設定例で見てみましょう。

サンプリングレートと測定時間の関係

サンプリングレートを上げるほど、測定できる時間は短くなり、細かく測ろうとすると、長時間は見られなくなります。

測定チャンネル数とサンプリングレートの落とし穴

一般的なオシロスコープはインターリーブ方式(複数のA/Dコンバーターを組み合わせた方式)の回路構成を取っているものも多くあります。

例えば、1chで測定している際にはオシロスコープの最高サンプリングレートを設定出来ますが、 複数chで測定している場合にはサンプリングレートが低下する機種もある ので注意が必要です。

※「1chでは最高、複数chでは低下」の仕様は機種によって異なります。

時間軸(Time/Div)とサンプリングレートの落とし穴

一般的なオシロスコープは、時間軸(Time/Div)の設定でサンプリングレートは変わってしまいます。

そのため時間軸を長く設定して測定すると、 オシロスコープのサンプリングレートを高く維持出来ないことがある ので注意が必要です。

まとめ:オシロスコープのサンプリングレートは高ければいいとは限らない

まとめ:オシロスコープのサンプリングレートは高ければいいとは限らない

ポイント: サンプリングレートは「高ければ安心」ではなく、周波数帯域・レコード長・測定条件とのバランスで決めるのが重要です。

✓オシロスコープのサンプリングレート選定のチェックリスト

  • 周波数帯域の4〜5倍のサンプリングレートを選定したか?
  • サンプリングレートとレコード長の関係に注意して選定したか?
  • 複数chでの測定時にはサンプリングレートが低下する機種もあるので注意!
  • レコード長(メモリ長)を増設出来る機種もあるので、測定対象に応じて選定する

計測器選定から導入後まで、一貫してご相談いただけます

機器選定・デモ検証・アプリケーション提案・導入後の活用支援まで、計測に関わる検討をまとめて対応します。

  • 用途や測定課題を伺い、条件に合う計測器構成を検討します。
  • デモ機の貸出により、実機で操作性や測定結果を確認できます。
  • 掲載製品に限らず、要件を満たす製品の有無から調査・ご提案します。
  • 導入後に「どう測るか」「どう使うか」で迷った際の技術相談にも対応しています。